POINT LINE

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PointLineとは?

PointLineは明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス(FMS)学科阿原研究室の成果物です.PointLineは動的幾何学ソフト(Dynamic geometry software)で,ユーザーが画面上に平面幾何学の作図を行い,作図後に(作図手順を保存したまま)図を変形できるような,双方向型のソフトウエアです.
類似のソフトウエアにはGeoGebraやCinderellaなどがあります.

GeoGebraやCinderellaなどの動的幾何学ソフトとの違いは?

作図には「作図手順」というプロセスが含まれます.つまり,図を作るうえで,定規とコンパス(もしくはそれに類する作図道具)などのツールを使って,ある手順に従って図を作るのが従来のソフトウエアです.たとえば,三角形から外接円の中心(外心)をもとめたければ,各辺の垂直二等分線を作図し,それらの交点を作図することになります.
PointLineでは,作図道具の実装を「マルコフ過程のイテレーションによる収束」で行います。この手法により、作図道具はすべて「双方向的」になります。たとえば三角形とそれに概説する円とを描こうとするとき、「三角形を描いて外接する円を描く」のと「円を描いて円上の3点を頂点とする三角形を描く」のは、同じことでしょうか、異なるでしょうか。GeoGebraなどの従来のソフトウエアにおいては、この二つは異なる作図です。なぜかと言えば、GeoGebraにおいては、作図道具は頂点や円などの幾何要素の従属関係を伴うからです。
一方でPointLineにおいては、作図道具は双方向的ですので、上記二つの作図は同じものになります。マルコフ過程のイテレーションを用いて作図を実現する方法が新しいです。また、マルコフ過程のイテレーションが必ず収束するのかという数学のオープンな問題が残されています。

あとから図形の条件を追加できます

作図を構成する要素は「頂点」「直線(線分)」「円」です.PointLineでは、これらを画面上に描画した後に「頂点が直線の上にある」「2つの線分が直交する」「円と直線が接する」などの条件を追加することが可能です.このことから,例えば三角形についての作図を行ったあとで,「最初の三角形が二等辺三角形ならば図はどのような形になるか」「最初の三角形が直角三角形ならばどうなるか」「辺の長さが等しいという条件を外すと作図の自由度はどうなるか」などと,条件を追加・削除して観察することができるようになりました.

作図手順がわからないような図形の作図が可能になります

多くのGDS(動的幾何ソフトウエア)においては、コンパスと定規による作図を念頭に設計されています。このことから、「描きたい図があるが、作図手順がわからない。したがって図を描くことができない」ということがあり得ます。たとえば、左の図のように、与えられた3つの円の全てに外接するような円を作図することは,かなり込み入った作図についての知識が必要です.こういう時あなたはどうしますか?教科書で調べますか?PointLineでは,円と円が接することを指定するだけで,望んだ図を得ることができます.

TeXへのファイル出力ができます

挿絵作成ソフトウエアとしても利用できるように,ここで作図した図形はTikzファイルで出力することができ,TeXで挿絵として用いることができます.

研究用のPython版もあります

PointLineは幾何要素間のマルコフ過程がイテレーションにより収束するかどうかという、数学の問題を提供します。この研究のために、Pythonによるオープンソースを公開しています。
https://github.com/aharalabMeiji/PyPointLine